Interview 03
地元で自分らしく暮らしながら
これからの薬剤師が担うべき
役割を自ら考えていきたい。
長石 朗/Nagaishi Akira
薬剤師2015年入社[中途採用]
大学卒業後、医薬流通サービスの大手企業に6年間勤務。その後帰郷し徳吉薬局に入社、「さかえまち」に配属。2018年9月、「しかの」に異動。鳥取県を本拠地とするJリーグ加盟のサッカークラブ「ガイナーレ鳥取」の大ファン。
地域貢献できる薬剤師を目指して
全国展開の大手企業から地元へ
私が薬剤師を目指したきっかけは、高校時代に将来を考える中で、どの土地に行っても働けるように資格を取り、手に職をつけるべきと考えたからです。鳥取で生まれ育つ中で、子どもの頃は県外への憧れが強く、鳥取の外に出て生活したいと思っていましたが、地元を離れて違う地域で貢献していくためには資格を持った職業でなくては難しい、と当時は考えていました。
関西の大学に進学し、授業や実習を通して薬学を学んでいく中で、身に付けた知識をどのように生かしていくかを考えたときに、医療のマンパワーが不足していると聞いていた鳥取へ戻ることも選択肢に上がりましたが、大学卒業後は、調剤薬局やドラッグストアを全国にチェーン展開する大手企業に就職しました。
たくさんの店舗を持つ企業であり、薬剤師として踏み出した直後から多くの知識と接することができた一方で、転勤や遠距離の店舗応援が多かったのはとても大変でした。当時会社は新店舗を数多く出していた時期で、短期間のヘルプも含め、最初の勤務地である愛媛県から長崎、広島、兵庫、名古屋など西日本を中心に各県を巡ったり、同じ県の中でも複数の店舗を異動したりしながら引っ越しを何度も経験しました。
そうやって様々な土地を渡り歩きながら社会人として数年が経過した中で、都市部の勤務で毎日満員電車に乗って人の多さに疲れを感じたり、転勤が多く一つの土地で患者さんと長く関わっていくことができないもどかしさを感じたりしたこともあって、自身の年齢が30歳に近くなってくる頃に地元である鳥取に対する見方が変わってきていました。一度離れるまでは考えもしませんでしたが、物価や家賃など、生活にかかる費用が安く、自然も多く、人が多すぎない、都会ほど混雑していないけれど生活に不便なほど店や公共機関がないわけでもない、生活面でも自分にとって“ちょうどよい”のが鳥取ではないかと感じるようになりました。
そう考え始めたときに、真っ先に思い出したのが大学時代に薬局実習で訪れた徳吉薬局でした。鳥取県東部で長く薬局業を営み、地域と患者様に継続して関わっていける薬局で、実習当時に私の指導薬剤師であった徳吉雄三先生が、鳥取の地で薬剤師としてできることは何なのかを語っていた姿と熱量も強く印象に残っていたことから、帰郷に当たって連絡を取らせてもらったのが入社のきっかけです。
乳幼児からお年寄りまで
様々なお薬の悩みに寄り添います
「しかの」は、2015年11月に開店したまだ新しい店舗です。ここ鹿野町は、のどかな田園風景が広がる静かな城下町。時間がゆっくりと流れている感じがします。隣のクリニックにいらっしゃるお年寄りや乳幼児の患者さんが中心です。
薬剤師として当たり前のことですが、処方されたお薬を正確におつくりし、きちんと服用できるよう一人一人の患者さんに合わせたサポートすることを心がけています。種類や量が増えてくると、薬を管理するのは結構大変です。年配の患者さんの中には、複数の病院からお薬を処方されていてどれをいつ飲めばいいか分からなくなっていたり、錠剤を取り出す細かい動作がしづらいという方がいらっしゃいます。そういう場合は、複数のお薬を1回分ごとにまとめる「一包化」をお勧めしています。袋にお名前や服用する日付・時間等の情報を印字することができるので、飲み忘れや間違いを防ぐことができます。
乳幼児の服薬にはまた別の苦労があります。私も自分の子どもが生まれて初めて分かったのですが、テキストに書いてあるとおりにやってもなかなかうまく飲ませられないんです。保護者の皆さんの大変さが身に染みて分かりました。ですから今は「この飲み物だったらお薬を混ぜても大丈夫なので、試してみてください」と、より具体的にお伝えするように心がけています。
社員の提案に耳を傾けてくれるから
いろんなことに挑戦できる!
「しかの」では店舗内のモニターに、風邪の予防方法や、生活習慣病にならないための食事の摂り方、毎日の運動など、病気予防や健康維持のワンポイントアドバイスを分かりやすい文章とイラストで表示しています。薬や治療を越えたところでも患者さんに関わっていきたいと考えて始めた取り組みです。
このアイデアは「しかの」の発案ですが、会社は、良い取り組みだといって採用してくださり、早速モニターを設置してくれました。徳吉薬局には私たち社員がいろいろな提案をしやすい雰囲気がありますし、一度話が通ると実行が速い。そういうところに企業としての意欲の強さや頼もしさを感じます。
私は、徳吉薬局に入社してまもなく「スポーツファーマシスト」を取得しました。スポーツ選手らに向けてアンチ・ドーピングに関する医薬品の情報提供や啓発活動を行うことができる資格です。社内では取得している薬剤師が多く、自分自身もスポーツが好きで興味があったから。徳吉薬局は薬や治療を越えたところでも様々な地域貢献をしています。会社同様私自身も、いろいろな角度から患者さんに関わっていきたいと思っています。
1日のスケジュール
6:30 | 起床、朝食 |
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8:00 | 出勤、開局準備 |
8:30 | 調剤、服薬指導 |
13:00 | 昼食休憩 |
14:00 | 施設まわり |
15:00 | 調剤、服薬指導 |
17:30 | 業務終了、退社 |
18:00 | 帰宅 |
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18:30 | 子供とお風呂 |
19:00 | 夕食 |
20:00 | 子供の寝かしつけ |
21:00 | 娯楽、勉強 |
23:00 | 就寝 |
休日は子どもと一緒に外遊びに出かけることが多いです。家の近所に大きな公園や芝生広場があるので、活発になってきた子どもが走り回るのについて行くのが良い運動になっています。また、10年以上前から地元のサッカークラブ「ガイナーレ鳥取」の応援を続けており、試合の日は親子で観戦しています。
鳥取の生活では移動手段は車がメインですが、交通量はさほど多くありません。なので荷物のことや渋滞に悩まされることなくそれなりに快適な生活を送ることができます。子育て世代にとっては自然が近く、生活に必要なお店もあり、都会のように気ぜわしいこともなく、不自由すぎることもない。そんな“ちょうど良さ”が鳥取の魅力だと思います。
※掲載内容は取材当時のものです。